土地・建物の所有者が亡くなったら、
「相続登記」という名義変更の手続きが必要です。

相続時の名義変更は必ず行わなければなりません。

2024年以降は、相続が発生してから、3年以内に登記・名義変更が義務付けられます。
相続人が相続・遺贈による不動産の取得を知ってから3年以内に、登記申請することを義務化し、違反者は10万円以下の過料の対象とします。
また、法改正以前に所有している、相続登記・変更登記が済んでいない不動産も義務化されるため、近い時期に登記を行う必要があります。

スムーズに名義変更手続きを行うために、必要書類や方法を事前に確認しておくことが必要ですので、不動産の所有者が亡くなった場合の土地や建物の名義変更に説明します。

所有者が亡くなった時、不動産(土地・建物)の名義変更とは?

家主が亡くなった場合、その家を相続した方へ名義変更をする必要が発生します。死亡により発生する不動産名義変更を「相続登記」といいます。

相続登記の場合、ただ名義人を変更するのではなく、法定相続人全員の同意と署名捺印が必須ですので、まずは法定相続人が集まって遺産分割協議を行い、相続財産の分割について話し合います。

相続登記や所有者の氏名や住所の変更登記は義務化はされておりませんでしたが、2021年2月2日に「民法・不動産登記法(所有者不明土地関係)の改正等に関する要網案」が決定しました。

この要網案の一番の柱として掲げられているのが、「相続登記」や「氏名又は名称及び住所の変更登記」の義務化です。

法案が成立すれば2023年度から施行される見通しです。

また、法律のみに関わらず以下のようなリスクが発生するため、なるべく早く名義変更を行うことをおすすめします。

名義変更を行わない場合のリスク

相続が発生したにも関わらず、所有者の名義変更を行わない場合のリスクについて知っておきましょう。

リスク①不動産を売却できない

名義変更をしていない場合、相続した土地や建物を売却することができません。

家をいずれ売却したいと考えている場合は、名義変更が必須となります。

リスク②不動産に担保権を設定できない

名義人が異なる場合、不動産を担保に融資を受けることはできません。

例えば、相続により譲り受けた土地に住宅ローンを借入して住宅を建てる場合には、相続した土地と新たに建築する建物の双方に抵当権(担保設定)の設定が必要となりますが、土地の相続登記を怠っていた場合には、このような事例が当てはまります。

リスク③他の相続人と不動産の共有状態になる

名義変更をしないということは、不動産を相続人全員で共有している状態になっています。

そのため、相続人は他の相続人の持分を売却したり差し押さえられたりすることが可能に。

もし共有持分の売却などが行われた場合は、元の状態に戻すために再度買い取る必要があり、余計な出費が発生する恐れがあります。

リスク④共有者が増加・複雑化する

家主が亡くなった当初は法定相続人が数人であっても、何年も経過していざ名義変更しようと思ったときには、当時の相続人が死亡している可能性があります。

その場合は、いとこ同士やもっと疎遠な親戚で共有するなど、共有者の人数が増えて権利関係が複雑になってしまいます。

②のケースで住宅を立てる場合などで、相続人が多数いることが判明した場合には、計画通りに進まないなんていう事も起こり得ます。

権利関係が複雑化すると、共有持分の買取請求などが発生することも考えられるのです。

リスク⑤次世代の子どもたちが倍の費用を支払う必要がある

名義変更をしないと、手続き費用がかからないため節約できるというメリットがあります。

しかし、家主Aさんが死亡した際に相続人Bさんが名義変更しないまま死亡した場合、その相続人のCさんが2回分の登録免許税など名義変更費用を支払わなくてはいけません。

また、相続人が増えることによって、自分一人で相続登記の申請が難しくなり、司法書士へ依頼せざるを得ない状況にもなってきます。

そう考えると相続登記の先送りが、費用面(コスト)にも影響してきてしまうのです。

名義変更を行うメリット

家主が亡くなった際に土地や建物の名義変更をしておくと、先ほどご紹介したさまざまなリスクを回避することができます。

名義変更しておけば、その不動産の所有者を明確にできるため、何か問題が起きたときにスムーズに対応が可能になります。

もちろん、名義を変更していれば家の売却もスムーズに進みます。

相続した不動産を売却したい場合は、早めに名義変更しておきましょう。

名義変更にかかる期間は?

なお、相続登記の申請書を法務局に提出し受理・名義変更されるまで、スムーズに手続きできた場合、約2〜3週間の時間を要します。

しかし、実際には申請書の提出の前に、相続人で遺産分割協議書をまとめるなど、複数回話し合う必要があるため、最短でも1カ月以上はかかるということを事前に理解しておきましょう。

家主が亡くなった場合の不動産の名義変更はお早めに

持ち家の家主が亡くなられてしまった場合、名義変更「相続登記」の手続きが必要になります。

相続登記を完了させていない場合には、下記のリスクが発生する可能性があります。

  1. 不動産を売買できない
  2. 不動産に担保権を設定できない
  3. 他の相続人と不動産の共有状態になる
  4. 共有者が増加・複雑化する
  5. 共有者が増加した場合に、相続人が多くなり過ぎて不動産の売買が進行できない

このように、さまざまなリスクが発生する恐れがあるため、なるべく早く名義変更を行い、いざ不動産の売却という時には、とてもスムーズに手続きが可能となります。